子供さんがスポーツをしていて膝が痛いと言ってやってくることがあります。
先生によっては子供×膝痛⇒オスグットシュラッター病とカンタンに言ってしまうところもあるようです。
アナタの大切な子供さんもいま膝が痛いと言っているかもしれません。
この記事を読むことでオスグット病についてと他の疾患の違いの理解が深まればいいなと思います。
オスグットシュラッター病と成長痛
オスグットシュラッター病は脛骨粗面部(スネの骨の上部)に発症する骨端症です。
骨端軟骨が存在する学童期に発症するため、成長痛という言い方もされます。
この部分に加わる過剰な機械的ストレスにより、炎症、部分的はく離、微小裂離骨折が生じたものを指すものが一般的です。
この機械的ストレスを起こす第一の要因が大腿四頭筋の過緊張であると言われています。
成長痛とは
一般的に成長期前後の子供さんの骨は軟骨が混じっています。
その軟骨が硬骨(いわゆる大人の骨)に変化するときに伸びて固くなるわけなんですが伸びる勢いが多すぎると、まだ軟骨の部分が筋肉や腱に引っ張られて変形し、痛みがでます。
これが成長痛なのですが、ときどき身長がすごく伸びているわけじゃないのに痛い、とか骨の部分に変形がないのに痛い、という子供たちがいます。
この子たちの膝と成長痛はどう違うのでしょうか
もう一つの成長痛
子供たちの痛みをエコーで観察していると、本来ないところにドップラー反応が見られることがあります。
ドップラー反応とは患部に動きがあるものが映し出される機能で、主に血管を示します。
この血管の役割はおそらく軟骨を硬骨にするための栄養血管であると考えられます。
このように本来ないところに新生血管がある場合、炎症反応と同じように痛みを感じることになります。
これもある意味では成長痛といえるでしょう。
よく似た膝の疾患
膝に痛みがでる疾患でオスグット以外ではどんなものがあるでしょうか。オスグットの起こる年代に近い子供たちによくみられる症例を少し紹介します。
シンディングラーセンヨハンソン病
膝蓋骨(膝のお皿)の下方部に痛みがでます。
5~14歳くらいの男の子に多くジャンプする競技をしたあとに発生することが多いようです。
ジャンパーズニー
シンディングラーセンヨハンソン病とよく似ていますが膝のお皿の上方部に痛みが発生します。
名前の通り、ジャンプする競技によく発生します。
お皿の下方部に痛みのでるシンディングラーセンヨハンソン病を含めて膝蓋骨周りの痛み全般を指す場合もあります。
有痛性分裂膝蓋骨
10歳代の男の子に多いです。
膝蓋骨本体が痛むことが特徴的です。
オスグットを悪化させる要因
大腿四頭筋の過緊張
大腿四頭筋(特に大腿直筋)は以下の写真のような走行をします。
オスグットの痛みがでる点にモロに停止するため、この筋肉の緊張により患部にかかる機械的なストレスが増大します。
この筋肉の緊張を取ってあげることがオスグッドを改善するための第一の選択といえます。
このチェックをするときに骨盤を固定する意味で痛い方の足と逆の足をベッドの下におろします
このチェックをするときに勢いよくやりすぎると患部が痛むことがありますので注意が必要です。
股関節の柔軟性の低下
股関節の周りの筋肉、とくに中殿筋は股関節の柔軟性に深く関わっているだけでなく膝関節にも影響を及ぼします。
足関節の柔軟性の低下と過剰回内
足関節の過剰回内は身体のさまざまな場所に影響を与える要素です。
これをなくしてあげることも予防になると考えられます。
当院での施術
いろは接骨院では上記のオスグットを悪化させる要因を取り除くことを中心に施術していきます。
マッスルエナジーテクニック
対象となる筋肉を伸ばし切った状態から力を入れさせることで腱紡錘という器官に働きかけ筋肉を緩める手技になります。
徐々に筋肉が緩んでいく様子がわかるため、保護者の方は見ていてびっくりされることが多いです。
セルフストレッチ指導
大腿四頭筋のストレッチは自宅でもできるので実施してもらっています。
- 痛いほうを上に横になって痛くない方の膝を抱え込む
- 痛い方の膝を完全に曲げきり足首を持つ
- 膝を曲げきったまま股関節を伸ばして四頭筋をストレッチ
このとき痛みが増すようでしたらやめます
まとめ
他院にはない手技も併せて行っていますのでどうぞご相談ください。
参考、引用文献
寺山和雄「膝と大腿部の痛み」南江堂,2002,
林典雄「関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション 上肢」メジカルビュー社, 2009,