この記事ではスポーツ障害であるシンスプリントを劇的に早く治すための治療法が書いてあります。
当院のブログ内に
▼シンスプリントと疲労骨折の見分け方
▼シンスプリントがなかなか治らない理由
▼シンスプリント用の試合前のテーピングの貼り方
▼シンスプリントや疲労骨折では松葉杖が必要か?(読者さんからの質問)
について書いてあります。どうぞ合わせてお読みください
では本編をご覧ください
シンスプリントは部活を頑張っている人に起こるすねの内側の痛みです。
頑張り屋さんがなるスポーツ障害を治すためにはやはり少しの期間、休む必要もあります。
しかし頑張り屋の選手にこれを伝えるのはものすごくツライことでした。
その子が早く競技に復帰したいと願っているのをよく知っているからです。
このスポーツ障害の治療に一番頭を悩ませたのはその点でした。
だから少しでも早く復帰できるように
少しでも痛みがなくなるようにと
さまざまな治療法をやってきてたどり着いたのが今回の治療法です。
この治療法を取り入れることで
治療期間が短くなり、治療回数も減りました。
部活を休んでもらう期間も短くなって、競技復帰が早くなりました。
それは、これまでシンスプリントのせいであきらめなければならなかった試合に出れるようになり、痛みのせいで競技自体を続けることができないということを無くすことにつながりました。
ひとつだけ言いたいことがあります。
どんな痛みも原因があり、それを取り除けば治療できるんです。
この記事を読んでそれを理解し、そして痛みのない競技復帰をしてもらえることを願っています。
こんな治療されてないですか?
シンスプリントの治りが悪く苦労する選手は多いです。
いろんな病院、接骨院、整体などに行かれたという患者さんもいらっしゃるでしょう。
「いままでにどんな治療をしてきましたか?」
と聞くと
テーピング
アイシング
ストレッチ
低周波(電気治療)
インソール
といった治療方法を経験されていることが多いです。
これを読まれている方もこのうちのどれかを経験済みかもしれませんね。
これらの治療方法で治るシンスプリントは特に軽症な状態だと思います。
しかし軽症な時点で治療に来院する患者さんはほぼいないです。
そもそも一生懸命に部活に打ち込む子たちがなるスポーツ障害です。
特に痛みが強くなり、ガマンできないくらいになってから来院されることが多いでしょうし、このページをご覧になっているアナタ(のお子さん)も同じ状態でしょう。
そのようなヒドイ状態のときには、これらの治療はあまり効果的とは言えません。そしてそれを続けるのは貴重な時間をムダに使ってしまうことになります。
これまでの治療が治らない理由
以前に書いた記事に紹介してあるのですが、シンスプリントがなかなか治らない理由があります。
こちらの記事にまとめたのですが、治らない理由は4つです。
そのうちのイチバンの理由は治療する対象が間違っているということです。
いろんなホームページをみて書いてある後脛骨筋という部分はシンスプリントの原因の氷山の一角なのです。
新しい治療法の対象は”膜”
ここからはシンスプリントの新しい治療について書いて行きます。
先ほどの氷山の一角の図に後脛骨筋以外のいろんな筋肉の名前を書きました。
これらの筋肉の”膜”である「筋膜」が治療の対象になります。
筋膜とはなにか
筋膜はその名のとおり筋肉を包む大きな膜です。
シンスプの治療のために筋膜について理解してもらうことは二つだけです。
ひとつは複数の筋肉を経由して包むということ
もうひとつは筋肉を守るために刺激に敏感であるということです。
筋膜は複数の筋肉を経由する
筋膜は複数の筋肉や骨膜を経由している一枚の線維です。
腕にある筋膜が指から肩までの筋肉を覆っている図を紹介します、が少しグロイので見たい方はクリックしてください(拡大されます)
文献1)
痛みを感じるのは筋膜・骨膜
文献によると
筋膜には多くの感覚受容器がある。その総数は、数え方にもよるが、 ヒトの最も多い感覚器官とされる目の網膜の受容器の数を上回る。
もちろん、他の組織も、私たちが感じる身体感覚に関与している。関節包(一種の筋膜とする分類体系もある)にも骨にも感覚がある(多くは筋膜、あるいは骨膜による)
※引用文献「ビジュアルで学ぶ筋膜リリーステクニック」Til Luchau
とあります。
シンスプリントでもオスグッドでも足底筋膜炎でも共通なことですが、実は筋肉や骨の実質に痛みを感じる神経(痛覚神経)は少ないです。
痛覚神経が一番豊富なのは筋肉や骨の表面にある筋膜や骨膜なのです。
理由は簡単です。痛みの刺激は外から来るからです
カラダで言えば痛みの刺激を皮膚が感じることでカラダは守られています。
腕に針が刺さったら痛いと思って引っ込めますよね?
これと同様に筋肉や骨も筋膜や骨膜が表面にあり痛みに対する監視役になっています。
これを逆にすると「痛みが発生している」=「筋膜や骨膜になんらかの症状がおこっている状態」だと考えられます。
では痛みが発生している筋膜にどんなことが起こっているのでしょうか?
ある場所の歪みが違う場所のストレスになる
あるカラダの使い方を繰り返すことで大きな筋膜の一部に動きのクセができてしまいます。
伸びるべき筋膜が伸びなかったり逆に縮んでいるはずの筋膜が縮んでいなかったりします。
このある場所での筋膜のクセが違う場所にストレスをかけてしまいます。
Tシャツの右胸のところをつまんでひっぱると左の脇腹のシャツがひっぱられてしまうでしょう。
このTシャツを筋膜と考えてもらうとわかりやすいかと思います。
このストレスが筋膜にたくさんある痛覚神経を刺激します。
シンスプリントとは、カラダのどこかで起こっている筋膜のクセがすねの内側の筋膜にストレスとしてかかっているのです。
文献1)より
当院でのシンスプリントの治療はこの最初におこる筋膜のクセによる歪みの場所を見つけて、調整することになります。
筋膜のつながり
筋膜のつながりの実際の図の一例をご覧いただきます。
文献1)より
たくさんのラインがあるうちの一つです。
またどこのラインに歪みがでているかはおこなっている競技や個人個人で違います。
それを見つけるところからがいろは接骨院の仕事となります。
どの筋肉の筋膜に歪みが起こっているのか?
これは実際に患者さんのカラダをみることでしかわかりません。
テニス部がボールを打つ動作
バスケ部でドリブルをする動作
野球部でボールを投げる動作
サッカー部でボールをける動作
それぞれにやっていることはバラバラです。
シンスプリントの原因となる繰り返しの動作がバラバラなので筋膜のクセもそれぞれ違ってきます。
実際の症例
当院でおこなうシンスプリントの治療(施術)例をご覧いただきます。
以前違う記事に書いたものをこちらに転載いたします。
主な訴え
中学では女子のクラブチームに、高校では三重県の強豪女子サッカー部に入部
中学からときどきシンスプリントが発生していたが、テーピングなどでごまかしていた。
左のすねの内側が痛い
筋膜の歪みを探す
痛い場所
左足のすねの内側(下の写真の×点)
走ると痛いというのが主な訴えですが、自分で押しても痛みが発生していました。この痛みをなくすことを治療の第一の目的にします。
筋膜の歪みが考えられるところを探していきます。
①膝関節→股関節の可動域を確認する
→膝関節の下に一部筋膜の硬さを発見。
そしてアナトミートレインのラインにしたがって上方へチェックしていきます。
②体幹の左側屈が右に比べて少ない
→左上前腸骨棘から外腹斜筋が始まるところに筋膜の異常な硬さがあり、動きが制限されていました。
文献1)より
③首の側屈が左に倒れにくい
→右の頭板状筋に筋膜の異常な硬さと動きの制限あり→右の腰部に筋膜の重積があり(今回のシンスプリントとは関係ありませんでした)
筋膜調整の実施と結果
これら(①と②)の筋膜の異常を手技によってリリース(解放)しました。
この施術を4回ほどおこなって治療終了となりました。
まとめ
シンスプリントの痛みを取るのには筋膜の歪みを調整する治療法が有効です。
これまでにたくさんの先輩たちのシンスプリントで、私も一緒に頭を悩ませてきた結果がこの治療法です。
少しでも早く競技復帰できるように、お手伝いをします。
本気で治したいと思うのであれば一度、相談をしてください
※引用文献1)「ファッシャルリリーステクニック 身体構造のバランスを整える筋膜リリース技術」James Earls & Thomas Myers